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エキゾチックショートヘアは、ペルシャ猫の血を受け継ぎ、低く潰れた鼻と大きな丸い目、そして短い被毛が特徴の猫種です。その愛らしい顔立ちから、昔から多くの人々に愛されてきました。
ただし、潰れた鼻を持つ猫には特有の呼吸器トラブルが起こりやすいため、日常的なケアや環境管理が重要です。
今回は、エキゾチックショートヘアの特徴やかかりやすい病気やその治療法、予防法などを詳しく解説します。
■目次
1.エキゾチックショートヘアという猫種の特徴
2.エキゾチックショートヘアがかかりやすい病気
3.エキゾチックショートヘアがかかりやすい病気の治療法
4.エキゾチックショートヘアがかかりやすい病気を予防するには
5.まとめ
体格は中型で、平均体重は4〜7kgほどです。性格はペルシャ猫に似て温厚で甘えん坊の子が多いですが、アメリカンショートヘアに似て好奇心が旺盛で、やや警戒心が強い場合もあります。ただ、基本的には気難しい性格ではなく、人と一緒に暮らすのに適した猫と言えるでしょう。
アニコムの「家庭どうぶつ白書2023」によると、猫全体の平均寿命は14.7歳ですが、エキゾチックショートヘアの平均寿命は12.8歳となっており、全体と比較して約2年ほど短命であることが分かります。
これは、潰れた鼻を持つ猫特有の呼吸器症状(短頭種気道症候群)が影響している可能性があります。
エキゾチックショートヘアに多く見られる病気を3つご紹介します。
<短頭種気道症候群>
短頭種気道症候群は、パグやフレンチブルドッグのような鼻の短い犬に多い病気とされていますが、猫にも見られる病気です。特に、ペルシャやエキゾチックショートヘアのような鼻が潰れた猫は、この病気のリスクが高いので注意が必要です。
生まれつき鼻から喉にかけての構造が狭く、呼吸がしづらいため、いびきや開口呼吸、呼吸困難、嚥下障害などの症状が現れることがあります。
<多発性嚢胞腎>
多発性嚢胞腎は、腎臓に液体がたまった袋状の嚢胞が多数できることで、腎機能が低下する病気です。ペルシャ猫に多く遺伝的に見られることが知られており、その血を引くエキゾチックショートヘアでも比較的多く発生します。
嚢胞が大きくなることにより腎機能が障害される結果、多飲多尿や食欲不振がよく見られます。
<肥大型心筋症>
肥大型心筋症はエキゾチックショートヘアに限らず、猫の中で最も多く見られる心臓病です。原因ははっきりしていませんが、左心室の心筋が肥大し、硬くなることで心臓のポンプ機能が低下します。
これにより、肺から送り込まれる新鮮な血液を十分に受け入れることができなくなり、最終的には鬱血性心不全や肺水腫を引き起こし、命に関わることもあります。
<短頭種気道症候群の治療法>
短頭種気道症候群の治療には、内科的な治療と外科的な治療の2つがあります。内科的な治療は症状を和らげるためのもので、去痰剤や気管支拡張薬、ステロイドを使って呼吸を楽にします。呼吸が苦しそうな場合には、酸素療法が必要になることもあります。
一方、外科的な治療は、病気の根本的な改善を目指すもので、鼻孔を広げるための一部切除や、喉の奥にある伸びた軟口蓋を切除する手術などが行われます。
<多発性嚢胞腎の治療法>
多発性嚢胞腎は遺伝子の異常が原因で起こるため、根本的な治療法はありません。
腎機能の低下に応じて、点滴による脱水症状の改善を行い、また、嘔吐や食欲不振が見られる場合には制吐薬や食欲増進薬を使い、症状を和らげる対症療法が行われます。
<肥大型心筋症の治療法>
肥大型心筋症は完治が難しい病気ですが、適切な治療を行うことで進行を遅らせることが可能です。定期的に心臓の検査を行い、病状の進行をしっかりと把握することが大切です。
初期から中等度の段階では、βブロッカーやACE阻害剤、抗血栓薬などを使用します。病状が進行して重度の心不全や肺水腫、胸水の貯留が見られる場合には、利尿薬や強心剤を追加することがあります。
残念ながら、肥大型心筋症や多発性嚢胞腎には効果的な予防法がありません。そのため、定期的に健康診断を受けて、早期発見と早期治療に努めることが重要です。
短頭種気道症候群も、体の構造が影響しているため完全に防ぐのは難しいですが、肥満を避けること、猫が涼しく過ごせる環境を整えること、過度な興奮を避けることなどで、呼吸状態の悪化を防ぐことができます。
もし、猫がいびきをかいたり、鼻を「ブーブー」「ズビズビ」と鳴らすような症状が見られたりしたら、早めに獣医師に相談してください。
エキゾチックショートヘアは、ペルシャ猫の血を引き、鼻が潰れた特徴的な見た目を持つ猫種です。しかし、短頭種気道症候群や多発性嚢胞腎などの病気を発症しやすいため、平均寿命が猫全体と比べて約2年ほど短い傾向にあります。
そのため、日頃から定期的な健康診断を受けて健康管理を徹底し、愛猫の様子に少しでも違和感があれば、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。
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