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サイベリアンはロシア東部に起源を持つ美しい猫で、「サイベリアン」という名前は「シベリアの猫」という意味から来ています。
シベリアの厳しい自然環境で育ったサイベリアンは、温かみのある毛並みと愛らしい性格が特徴です。
今回は、サイベリアンの特徴やかかりやすい病気やその治療法、予防法などを詳しく解説します。
■目次
1.サイベリアンという猫種の特徴
2.サイベリアンがかかりやすい病気
3.サイベリアンがかかりやすい病気の治療法
4.サイベリアンがかかりやすい病気を予防するには
5.まとめ
サイベリアンは、そのふわふわした柔らかい被毛と大きく筋肉質な体格が特徴です。
この猫種はシベリアの非常に寒い地域を原産とするため、耳の内側まで全身が被毛で覆われている珍しい猫種で、寒さに強く、温かくて触り心地の良い毛並みを持っています。
筋肉質な体は高い跳躍力を持ち、骨格と筋肉が完全に成長するまでには4〜5年ほどかかります。
性格は非常に穏やかで忍耐強く、そして猫特有の好奇心の強さや愛情深さも兼ね備えているため、人と暮らすのに理想的なパートナーと言えるでしょう。
一部のネット記事では「サイベリアンは猫アレルギーを起こしにくい」と記載されていますが、これには医学的根拠がありません。アレルギーが心配な方は、慎重に対応することをお勧めします。
サイベリアンは他の猫種と比べて比較的丈夫な体質ですが、それでもいくつかの病気にかかりやすいと言われています。ここでは、特に注意が必要な4つの病気をご紹介します。
<ピルビン酸キナーゼ欠損症>
ピルビン酸キナーゼは赤血球にエネルギーを供給する重要な酵素です。この病気は先天的にこの酵素が不足しているため、赤血球が壊れやすく貧血状態になります。貧血になると、元気や食欲の低下、目や口の中の粘膜が白っぽくなるなどの症状が現れます。
遺伝性の疾患であるため、この病気を持っている猫は繁殖させないことが大切です。サイベリアン以外にもアビシニアンやソマリにも多いと言われています。
<尿石症>
尿石症は、腎臓から尿管、膀胱、尿道までの尿の通り道に結石ができる病気です。
細菌感染や体質、不適切な食事、ストレスなど、さまざまな原因が重なって発生すると考えられています。
<慢性腎臓病>
慢性腎臓病は、加齢とともに腎臓の機能が徐々に低下していく病気です。
猫における慢性腎臓病の正確な原因は分かっていませんが、加齢、特定のウイルス感染、脱水など、さまざまな因子が重なって発症すると考えられています。
<肥大型心筋症>
肥大型心筋症は猫に最も多い心臓病で、症状や心雑音がない猫でも約10%がこの病気を持っていると言われています。ラグドールやアメリカンショートヘアなど、一部の猫種では家族性に発症する遺伝子疾患として知られています。
肥大型心筋症になると、左心室の心筋が厚くなり、心臓の柔軟性が失われます。その結果、血液を受け入れることができずに左心不全(=鬱血性心不全)を引き起こします。
初期の段階では体の代償機能で対応しますが、その限界を超えると肺水腫になったり胸水が溜まったりして、最終的には命を落とすことがあります。
肥大型心筋症はこちらで解説しています
以上がサイベリアンがかかりやすい主な病気です。
ただし、ピルビン酸キナーゼ欠損症以外の尿石症、慢性腎臓病、肥大型心筋症はサイベリアンに限らず、多くの猫種で見られる病気ですので、日常的なケアと定期的な健康チェックを心掛けましょう。
サイベリアンがかかりやすい病気に対する治療法を以下にご紹介します。
<ピルビン酸キナーゼ欠損症の治療法>
この病気は遺伝性であるため、根本的な治療法はありません。
軽症の場合は安静にして運動を制限することで生活の質を十分に保つことができます。
貧血が重度の場合は、脾臓の摘出や定期的な輸血が治療法となりますが、特に輸血は継続が難しいことが多いです。
<尿石症の治療法>
尿石症に対する治療法は、結石の大きさや位置に応じて異なります。
結石が非常に小さい場合は経過観察や、食事療法によって溶かせる結石であれば食事療法で負担をかけずに治療します。
結石が尿管に詰まっている場合は、手術で結石を取り除く必要があります。
<慢性腎臓病の治療法>
慢性腎臓病を根治することはできないため、腎臓の機能低下を抑える治療が中心となります。
定期的な皮下点滴で脱水の改善や、タンパク質、リン、ナトリウムを制限した食事療法を行います。また、腎機能の悪化を和らげる薬やサプリメント、降圧剤、下痢や嘔吐に対する対症療法も併用します。
<肥大型心筋症の治療法>
肥大型心筋症の治療は、病気の進行を遅らせることが目的です。定期的な心臓のエコー検査を行い、病気の進行具合を評価することが重要です。
初期から中等度の症状には、βブロッカーやACE阻害剤、抗血栓薬などを用いて治療を行います。重度の心不全や肺水腫・胸水貯留が見られる場合は、利尿薬や強心剤を追加します。
サイベリアンがかかりやすいピルビン酸キナーゼ欠損症と肥大型心筋症は、予防することが難しい病気です。特にピルビン酸キナーゼ欠損症は遺伝性疾患であるため、この病気を持つ猫は繁殖させないことが大切です。
尿石症や慢性腎臓病も完全に予防することはできませんが、リスクを減らすためにいくつかの対策が有効です。
常に新鮮な水を飲めるようにしておく、人間の食べ物のような不適切な食事を与えない、ストレス管理などの日常的なケアは欠かさないようにしましょう。
サイベリアンに限らず、高齢猫には慢性腎臓病が多く見られるため、定期的に血液検査やエコー検査、尿検査を含む全身の健康診断を受け、早期発見・早期治療に努めましょう。
サイベリアンは穏やかで忍耐強く、愛情深い性格から非常に人気のある猫種であり、特に病気が多いタイプではありません。
しかし、ピルビン酸キナーゼ欠損症や肥大型心筋症など、気を付けるべき病気にかかりやすい傾向があるため、普段から愛猫の健康状態には気を配り、心配なことがあればすぐに獣医師に相談してください。
■猫種別の病気についてはこちらで解説しています
・スコティッシュ・フォールドがかかりやすい病気とは?|折れ耳の秘密は病気の始まり?
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