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ラグドールがかかりやすい病気とは?|ぬいぐるみのような見た目に潜む病気

ラグドールという名前は「ぬいぐるみ」を意味し、その名の通り美しい被毛と青い目、大人しい性格で知られています。世界中で高い人気を誇るこの猫種ですが、他の猫と同様に、ラグドールも特定の健康問題を抱えることがあります。

今回は、ラグドールの特徴や、かかりやすい病気やその治療法、予防法などを詳しく解説します。


■目次
1.ラグドールという猫種の特徴
2.ラグドールがかかりやすい病気
3.ラグドールがかかりやすい病気の治療法
4.ラグドールがかかりやすい病気を予防するには
5.まとめ

ラグドールという猫種の特徴

ラグドールは1960年ごろ、アメリカで一人のブリーダーが自分好みの容姿の猫を作るためにさまざまな猫種を交配させて誕生したと言われています。ラグドールという名前は、抱っこされるとぬいぐるみのように力を抜く性質から名付けられました。

外見は、大きくて丈夫な体に優しい顔つき、美しい青い目、大きく光沢のあるセミロングの被毛が特徴です。
性格は非常に穏やかで人懐っこく、抱っこされるのを好むため、人と暮らす猫として理想的です。


ラグドールがかかりやすい病気

ラグドールは他の猫種より特別に病気が多いわけではありませんが、以下のような一部の病気にかかりやすいと言われています。

・肥大型心筋症(HCM)
・多発性嚢胞腎(PKD)
・尿石症

<肥大型心筋症(HCM)>

肥大型心筋症は猫に最も多い心臓病で、症状や心雑音がない猫でも約10%は肥大型心筋症を患っていると言われています。
特にラグドールやアメリカンショートヘア、メインクーンなどの一部の猫種では、家族性に発症する遺伝子疾患であると知られています。

この病気になると、左心室の心筋が進行性に肥厚していきます。通常、心臓の筋肉は柔らかく柔軟性があり、肺から送られてくる大量の血液を受け入れることができます。しかし、筋が肥厚して硬くなると、血液をうまく受け入れられず、左心不全(鬱血性心不全)を引き起こします
初期段階では体が自然に問題を補おうとするため、症状が現れないことがありますが、その限界を超えると肺水腫や胸水貯留が起こり、最終的には命に関わることがあります。


<多発性嚢胞腎(PKD)>
多発性嚢胞腎は腎臓内に多数の嚢胞が形成され、腎機能が低下する原因不明の遺伝性疾患です。猫は元々年を取ると慢性腎臓病になりやすいですが、多発性嚢胞腎があると、その腎機能低下のスピードがさらに早まります。

猫の多発性嚢胞腎は常染色体優性遺伝であり、親猫のどちらかがこの病気を持っている場合、子猫は50%の確率で発症します。


<尿石症>
尿石症は、腎臓から尿管、膀胱、尿道の中で結晶や結石ができる病気です。細菌感染、体質、ミネラルの多い食べ物、ストレスなど、さまざまな原因が考えられています。
結石によって尿道が詰まると尿が出なくなり、急性腎不全になることがあるため注意が必要です。

その他、歯周病慢性腎臓病関節炎肥満など猫全体で頻発する病気に関しても、ラグドールで発症することが多いため注意が必要です。


ラグドールがかかりやすい病気の治療法

<肥大型心筋症の治療法>
肥大型心筋症そのものを完全に治すことはできませんが、適切な治療を行うことで病気の進行を遅らせることが可能です。そのため、定期的に心臓のエコー検査を実施し、病気の進行具合を評価することが重要です。

初期から中等度の段階では、βブロッカーやACE阻害剤、抗血栓薬などを使用して治療を行います。病気が進行して重度の心不全になった場合や、肺水腫や胸水貯留が見られる場合は、利尿薬や強心剤を追加して治療を行います。

肥大型心筋症についてはこちらで詳しく解説しています


<多発性嚢胞腎の治療法>
多発性嚢胞腎を完治させる治療法は残念ながらありません。
そのため、慢性腎臓病の治療と同様に、腎臓への負担を軽減するための対症療法を行います。

具体的には、皮下点滴や、タンパク質、リン、ナトリウムなどを制限した食事療法があります。また、腎機能の低下による嘔吐を防ぐための制酸剤や吐き気止め、腎高血圧を防ぐための降圧剤などを使用し、猫のQOLの維持に努めます。

慢性腎臓病についてはこちらで詳しく解説しています



<尿石症の治療法>

結石が小さい場合や溶かせる種類の結石であれば、食事療法で改善を試みます。
しかし、結石が大きい場合や尿道閉塞を解除できない場合には、手術が必要になります。

その他、歯周病に関しては普段からの歯磨きによる予防や、必要に応じてスケーリングや抜歯による治療が重要です。関節症や肥満については、食事管理を通じたダイエットが効果的です。


ラグドールがかかりやすい病気を予防するには

ラグドールがかかりやすい肥大型心筋症や多発性嚢胞腎は、遺伝が関与していると言われています。
遺伝子検査で陽性の場合は発症のリスクが高いと考えられるので、繁殖をさせる場合には、事前に遺伝子検査を行ってスクリーニングすることが重要です。

遺伝性疾患は原因遺伝子を持っていれば発症を防ぐことはできませんが、適切な繁殖管理を行い、原因遺伝子を排除することで、発症のリスクを下げることは可能です。
新しく猫を迎え入れる際は、信頼できるブリーダーや遺伝子検査を行っていると明記しているペットショップから迎え入れるようにしましょう。

また、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理などの日常的なケアも当然重要です。


まとめ

ラグドールは大人しくて人懐っこい性格のため、初心者でも非常に飼いやすい猫種です。
迎え入れた後は、定期的な健康診断で病気を早期に発見し、早期に治療することが大切です。また、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理などの日常的なケアを意識して、愛猫の健康を維持するよう努めましょう。


■猫種別の病気についてはこちらで解説しています
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