スコティッシュ・フォールドがかかりやすい病気とは？｜折れ耳の秘密は病気の始まり？

スコティッシュ・フォールドはその魅力的な外見と愛らしい性格で非常に人気が高く、飼育頭数も多い猫種です。しかし、その遺伝的特性から特定の病気になりやすいことも事実です。特に、骨や関節の問題が多く見られます。

今回は、スコティッシュ・フォールドがかかりやすい病気やその治療法、予防法などを詳しく解説します。

■目次
1.スコティッシュ・フォールドという猫種の特徴
2.スコティッシュ・フォールドがかかりやすい病気
3.スコティッシュ・フォールドがかかりやすい病気の治療法
4.スコティッシュ・フォールドがかかりやすい病気を予防するには
5.まとめ

スコティッシュ・フォールドという猫種の特徴

スコティッシュ・フォールドの大きな特徴は、折れ曲がった耳と柔らかい短毛です。
一部には立ち耳や長毛のスコティッシュ・フォールドもいますが、国内で販売されるほとんどのスコティッシュ・フォールドは折れ耳で短毛です。
この特徴的な折れ耳は、骨軟骨異形成症という遺伝性の病気の結果として現れています。

折れ耳のスコティッシュ・フォールドはすべて、骨軟骨異形成症を持っています。この病気は、骨の成長と関節軟骨の構造に異常をもたらし、手首や足首に骨瘤ができたり、痛みを感じたり、軟骨を正常に作れないなどの症状を引き起こします。耳の形は耳介軟骨という軟骨で形成されているため、軟骨をうまく作れないと耳が折れてしまうのです。

そのため、折れ耳のスコティッシュ・フォールドは、生まれながらに全身の関節が痛む病気を抱えて生まれてきています。このことを理解し、日々のケアや健康管理に細心の注意を払うことが必要です。

スコティッシュ・フォールドがかかりやすい病気

スコティッシュ・フォールドがかかりやすい主な病気は以下の通りです。

＜骨軟骨異形成症＞
骨の成長や関節軟骨の構造に異常が生じる遺伝性の病気で、痛みや関節の異常を引き起こします。 

骨関節症についてはこちらで解説しています


＜外耳炎＞
折れた耳が原因で耳の中が蒸れやすくなり、その結果、耳道の中で細菌が繁殖しやすくなります。これにより、外耳炎を引き起こしやすいのです。


＜眼瞼内反症＞
スコティッシュ・フォールドの大きなクリクリした目は非常に魅力的ですが、まぶたが眼球の内側にめくれ込み、逆さまつ毛と呼ばれる状態になることがあります。これが原因で目に刺激や炎症を引き起こすことがあります。


＜多発性嚢胞腎＞
腎臓内に嚢胞が多数形成され、腎機能が低下する遺伝性疾患です。

スコティッシュ・フォールドが座る際に人間のように足を前に投げ出して上体を起こして座る姿勢（通称：スコ座り）を見せることがありますが、これは膝関節に痛みを感じて膝を曲げることができないからだと考えられています。

スコティッシュ・フォールドがかかりやすい病気の治療法

＜骨軟骨異形成症＞
残念ながら、遺伝的に骨や軟骨を正常に形成できないこの病気には有効な治療法がありません。そのため、鎮痛薬や関節機能を保護するサプリメントを使用して、少しでも痛みを和らげることが基本となります。


＜外耳炎＞
耳洗浄や炎症を抑える点耳薬を用いて治療します。
治療後は定期的に自宅で耳掃除をして、耳道内を清潔に保つことが効果的です。


＜眼瞼内反症＞
まつ毛や眼瞼周辺の被毛を抜く方法がありますが、根本的な解決には外科手術が必要です。手術では、眼球周囲の皮膚と皮下組織を切開して縫い縮め、まつ毛が眼球表面に触れないようにします。


＜多発性嚢胞腎＞
多発性嚢胞腎も遺伝的な疾患であるため、有効な治療法はありません。しかし、腎機能が低下してきたら、必要に応じて皮下点滴や食餌療法を実施します。これにより、愛猫のQOL（生活の質）を維持することが可能です。

スコティッシュ・フォールドがかかりやすい病気を予防するには

骨軟骨異形成症や多発性嚢胞腎は遺伝的な疾患であるため、予防することはできません。しかし、外耳炎や眼瞼内反症については、症状が現れる前に予防的な処置を行うことで発症を防げます。

外耳炎の予防には、週に1回程度の耳掃除が効果的です。耳の中を清潔に保つことで、細菌の繁殖を防ぎ、炎症を予防します。耳掃除の際には、獣医師の指導を受けながら適切に行うことが大切です。

眼瞼内反症の予防には、目の周りの状態を定期的にチェックし、必要に応じてまつ毛や眼瞼周辺の被毛を処理することが重要です。また、目に異常が見られた場合は早めに獣医師に相談しましょう。

特に骨軟骨異形成症は、折れ耳のスコティッシュ・フォールドに避けられない病気です。そのため、定期的に動物病院を受診し、痛みを感じていないか獣医師に確認してもらうことが重要です。また、鎮痛薬や関節機能を保護するサプリメントを服用することで、少しでも痛みを和らげることに努めてください。

まとめ

スコティッシュ・フォールドは折れ耳やまんまるの大きな目などの特徴から非常に人気がある猫種です。しかし、折れ耳のスコティッシュ・フォールドは100%骨軟骨異形成症を抱えており、生涯にわたって関節の痛みに悩まされる場合があります。

このため、折れ耳のスコティッシュ・フォールドを飼い始める際には、生涯を通して治療が必要になる可能性があることを十分に考慮する必要があります。
愛猫の健康と幸福を守るために、日々のケアと定期的な獣医師の診察を心がけましょう。

■関連する病気はこちらで解説しています
・猫（スコティッシュ）の骨関節症