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マンチカンがかかりやすい病気とは?|小柄な体に潜むリスク

短い手足と柔らかくてふんわりとした被毛が特徴的なマンチカン。
マンチカンはイギリスで発見された突然変異種で、この短い手足は他の品種と比べても極めて短く、愛らしい見た目が人気を集めています。

今回は、マンチカンがかかりやすい病気やその治療法、予防法などを詳しく解説します。


■目次
1.マンチカンという猫種の特徴
2.マンチカンがかかりやすい病気
3.マンチカンがかかりやすい病気の治療法
4.マンチカンがかかりやすい病気を予防するには
5.まとめ

マンチカンという猫種の特徴

マンチカンの一番の特徴は、何と言ってもその短い手足です。この愛らしい短足は、常染色体(性染色体以外の染色体)に自然発生した優性突然変異によって生まれたものです。短足であっても、日常生活に大きな支障をきたすことはなく、ジャンプをしたり高いところに登ったりすることができます。

性格は非常に穏やかでおとなしく、高い社会性を持つ傾向があります。そのため、他の動物や同居猫とも問題なく過ごせるでしょう。

ただし、マンチカンは抜け毛が多い猫種でもあります。特に換毛期には、最低でも1日1回のブラッシングが必要です。


マンチカンがかかりやすい病気

マンチカンがかかりやすい主な病気は以下の通りです。

<椎間板ヘルニアや関節炎>
足が短いため、他の猫よりも足腰や関節への負担が大きく、椎間板ヘルニアや関節炎を起こしやすいと言われています。


<猫伝染性腹膜炎 (FIP)>
猫腸コロナウイルスが、何らかの原因で突然変異すると、致死的な猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)を発症し、下痢や元気がなくなるなどの症状を引き起こします。
純血種であるマンチカンは、混血種よりもFIPにかかりやすいと言われており、注意が必要です。

 当院のFIP治療に関してはこちら


<毛球症>
猫は自分の身体を舐めて毛繕い(グルーミング)を行い、抜けた毛を飲み込んでしまいます。
通常であれば、飲み込んだ毛は自力で吐き出すか、便と一緒に排出されますが、ストレスなどで消化機能が落ちたり、換毛期に大量の抜け毛を飲み込んだりすると、消化管の中で毛の塊が詰まってしまい、毛球症を引き起こします
マンチカンは比較的抜け毛が多い猫種なので、定期的なブラッシングが非常に重要です。

その他にも、マンチカンは猫に一般的な腎臓病などの病気にかかりやすいため、普段から健康診断を受けることが大切です。

慢性腎臓病についてはこちらで解説しています


マンチカンがかかりやすい病気の治療法

<椎間板ヘルニアや関節炎>
椎間板ヘルニアや関節炎の治療には、まず安静が重要です。ケージの中で静かに過ごさせることが基本となります。また、鎮痛薬や関節を保護するサプリメントなどの内科療法が基本となります。
症状が重度の場合には、外科手術によって飛び出した椎間板を切除し、神経の圧迫を解除することがあります。


<猫伝染性腹膜炎 (FIP)>
従来はFIPを発症すると治療が難しく、発症したら確実に死亡する病気とされていました。
しかし、近年ではFIP治療に大きな進展があり、「GS-441524」など新たな治療薬が登場し、治療の可能性が広がっています

猫のFIP治療の特設サイトはこちら


<毛球症>
毛球の排出を促すために、溜まった毛が便と共に排泄されやすくなる薬や、毛球症用のフードを利用します。
腸閉塞が疑われる場合には、外科手術で詰まった毛球を取り除く必要があります。


マンチカンがかかりやすい病気を予防するには

椎間板ヘルニアや関節炎は、マンチカンの短足が原因であるため100%予防することはできませんが、フローリングの床には滑り止めマットを敷き、滑りにくくすることが効果的です。できるだけ高いところからの飛び降りをさせないように工夫することも重要です。
さらに、肥満は関節に大きな負担をかけるため、適正体重を維持することが非常に大切です。

FIPの予防には、完全室内飼いを徹底することが最も効果的です。外飼いを避けることで、腸コロナウイルスへの感染リスクを大幅に減らせます。また、猫にストレスを与えないようにすることも重要です。

毛球症の予防には、日頃のブラッシングが欠かせません。特に換毛期には、毎日ブラッシングを行い、抜け毛を取り除くことで毛球の形成を防ぎます。さらに、毛球症用のフードやサプリメントを利用することも効果的です。


まとめ

マンチカンはその特徴的な短足から大人気の猫種です。しかし、その短足が原因で他の猫よりも足腰や関節への負担が大きく、椎間板ヘルニアや関節炎を起こしやすいと言われています。
マンチカンが健康に長生きするためには、猫の様子に異常がなくても、定期的に健康診断を受けて、病気の早期発見・早期治療を徹底することが大切です。


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