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心臓は血液を循環させるためのポンプのような働きをしていますが、猫が肥大型心筋症に罹患すると次第に心臓が膨らみにくくなり、血液循環に異常をきたします。
今回はそんな猫の肥大型心筋症についてご紹介していきたいと思います。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
猫の肥大型心筋症は、心臓の筋肉が厚く変形することで心臓の動きに障害が起こり、体へ十分な血液量を送れなくなる病気です。
好発品種が報告されておりアメリカン・ショートヘアやメインクーン、スコティッシュ・フォールド、ペルシャなどの特定の品種で発生率が高いことから、遺伝的な要因が関係していると考えられています。しかし、短毛の雑種猫での発症も多く、特定の品種に限らず、どの品種でも発症する可能性はあります。
また、発症年齢は0歳で発症することもあれば16歳以上で発症することもあり幅広く、性別ではオスに多くみられます。
初期の段階ではほとんど症状が現れません。進行すると疲れやすくなることがありますが、ゆっくり進行している場合は見過ごされてしまうケースも少なくありません
しかし、重度になると呼吸が苦しくなるのに加えて、血栓が発生しやすくなることから動脈血栓塞栓症のリスクが大きくなります。血栓は太ももの付け根部分の動脈に詰まることが多く、突然後ろ足に強い痛みが生じ、麻痺が起こったり足先が冷たくなったりします。
そして動脈血栓塞栓症を発症すると予後が悪いことも多く、急死してしまう場合もあります。
最も重要な検査は心臓のエコー検査で心筋の様子と心臓内の血液の流れを確認します。
その他にも聴診やレントゲン検査、血液検査、血圧測定、心電図など、さまざまな検査を組み合わせて総合的に診断します。
残念ながら完治させる術がまだないため、薬を使って進行スピードを抑えるような治療(対症療法)を行います。そして血栓ができている場合には、抗血栓薬を使用することもあります。
ただし、治療の内容は心臓の状態や症状によって異なります。例えば、軽度の場合は投薬を行わずに経過観察を行い、逆に重度の場合は入院治療が必要になることもあります。
遺伝的な要因が大きく関係していることから予防は難しく、症状が現れる前に病気を発見できるかどうかがカギとなります。そのため、特に好発品種では年齢に関係なく定期的に健康診断(特に心臓のエコー検査)を受けるようにしましょう。
肥大型心筋症は病気の存在に気が付きにくく、最悪の場合急死してしまうケースもあります。
そのため、定期的に健康診断を受け、万が一愛猫に疲れやすい、呼吸がおかしい、後ろ足をいたがっているなどの症状がみられた場合は、一刻も早く動物病院を受診しましょう。
アリーズ猫医療センターはアリーズ動物病院グループの中で唯一、猫専門の医療センターとしてキャット・フレンドリー・クリニックGOLD認定を取得しています。
猫の心臓病は実際に症例があるので、詳しく知りたい方はぜひ当院の症例集も御覧ください。
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<参考>
https://avmajournals.avma.org/view/journals/javma/234/11/javma.234.11.1398.xml