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縦隔型リンパ腫とは、縦隔という胸の中にあるリンパ組織に腫瘍が発生してしまう病気です。
リンパ節に発生するタイプのリンパ腫で、猫白血病ウイルス(FeLV)に感染していると発生率が高くなります。悪性腫瘍ですが抗がん剤に対する反応が比較的良く、早期発見・早期治療を行うことで数年にわたって完全寛解するケースもあります。
そこで、今回は縦隔型リンパ腫についてご紹介します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
縦隔型リンパ腫になる原因は、猫白血病ウイルスの感染によってリンパ球の一つである「T細胞」がガン化することで起こると考えられています。その他には遺伝や免疫力の低下、ストレスなどが重なり発症するともいわれています。
そのような悪性の腫瘍は一般的に高齢の猫に多く発生しますが、縦隔型リンパ腫の場合は2〜3歳くらいの若齢の猫でもかかることがあります。
縦隔型リンパ腫は、元気消失、食欲や体重の低下、嘔吐、下痢などといった症状がみられます。それから、胸部にできる腫瘍であることから、胸水が溜まると呼吸が苦しくなる、咳が出る、チアノーゼ、胸に触られるのを嫌がるといった症状もみられるようになります。
なお、口の中の舌や歯ぐき、目の結膜が白っぽいもしくは青紫色になっていたらチアノーゼのサインです。
まずは触診やレントゲン検査、超音波検査を行うことで腫瘍や胸水の存在を確認します。その後、腫瘍に針を刺して吸引した細胞を顕微鏡で観察する針生検を行います。
万が一、上記で診断がつかない場合は、遺伝子検査や組織生検、全身状態やウイルス感染の有無を確認するために血液検査などが考えられます。
主に複数の抗がん剤を組み合わせた化学療法を行います。また、胸水が溜まって呼吸困難を起こしている場合は、胸水を抜去します。
早期治療を行えば治療効果や寿命の延長が期待でき、長期にわたって完全寛解できる猫も多くいます。しかし、残念ながら再発率は高く、猫白血病ウイルス陽性の場合は陰性の猫と比較すると余命は短くなる傾向にあります。
完全に予防することは難しいものの、猫白血病ウイルスに感染しないようにすることである程度、縦隔型リンパ腫を予防できます。そのために、定期的なワクチン接種、室内飼育をすることが予防につながります。
愛猫が感染していないか心配な場合は、血液検査を行うことで猫白血病ウイルスに感染していないかどうか確認することもできます。
早期発見・早期治療を行うことで、愛猫とより長い時間を過ごせる可能性が高くなります。若齢の場合は進行も早いため、年齢を問わず定期的に健康診断を受けるようにしましょう。
アリーズ猫医療センターを含むアリーズ動物病院グループは、キャット・フレンドリー・クリニックGOLD認定を取得しており、ストレスの少ない「猫に優しい環境」づくりを心掛けております。
来院された際は、できるだけストレスを軽減するために猫ちゃんだけの入り口・待合室・診療室へご案内しておりますので、縦隔型リンパ腫が疑われる症状がみられた際はもちろん、ワクチン接種や健康診断についても安心してご利用ください。
また、「症例集」でも猫の縦隔型リンパ腫についてご紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
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<参考>
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsurinshoigaku/20/4/20_115/_pdf/-char/ja