新着情報・ブログ
未避妊のメス猫の元気がなかったり陰部から膿のようなものが出ていたりする場合、それはもしかしたら子宮蓄膿症かもしれません。
治療が遅れてしまうと命に関わるものの、症状が現れにくく発見が遅れてしまうケースもあるため、予防を行うことが何よりも大切です。
そこで今回は、猫の子宮蓄膿症についてご紹介していきます。
子宮蓄膿症とは、細菌感染により子宮内部に膿が溜まってしまう病気です。
本来であれば子宮が細菌感染を起こすことはありません。しかし、排卵後は精子を受け入れるために免疫機能が低下するため、細菌も子宮内に入りやすくなります。その結果、子宮蓄膿症が引き起こされます。
ただし、猫は交尾排卵動物といって、交尾をすることで排卵を行います。逆をいえば、交尾の刺激がなければ基本的には排卵を起こさないため、比較的子宮蓄膿症の発生率が低い傾向にあります。
犬の場合は多飲多尿や嘔吐、元気・食欲の低下といった症状がみられますが、猫では多飲多尿や嘔吐といった症状はほとんどみられません。
また、子宮蓄膿症には「開放型」と「閉鎖型」の2タイプがあります。
開放型の場合は外陰部から膿が出てくるため、陰部やお尻の周りが膿で汚れてしまいます。
一方、閉鎖型の場合は膿が子宮に溜まっていくため、お腹が膨らんできたり、お腹に触ると痛がったりするなどの症状がみられます。
さらに、場合によっては膿でいっぱいになった子宮が破れてしまい、ショック状態に陥って命を落とすこともあります。
まずは問診によって症状や年齢、避妊手術の有無などを確認します。
その後、視診や触診によって症状を確認した後、X線検査やエコー検査で膿を含んだ子宮を確認したり、血液検査で全身状態を確認したりすることで診断をします。
根治のためには卵巣・子宮全摘手術を行う必要があります。抗生剤や子宮を収縮させて排膿を促すような薬を投与することもありますが、治癒しなかったり再発したりといったリスクを伴います。
また、すでにショック状態にある場合には、点滴や抗生剤を投与して、まずは状態の安定を目指します。
実際の症例について詳しく知りたい方は、症例集もあわせてご覧ください。
一番の予防法は避妊手術です。若いうちに避妊手術を行えば高い確率で乳腺癌の発症も予防することができるため、遅くとも1歳になる前に避妊手術を行うようにしましょう。
猫の子宮蓄膿症は症状が表に出にくく、発見が遅れてしまうケースも少なくありません。
また、通常の避妊手術と手技は同じであるものの、健康な状態と比べると麻酔のリスクが大きく異なります。避妊手術は生後6ヶ月から行えるため、繁殖の予定がないのであれば早めに避妊手術を行うようにしましょう。
「去勢・避妊手術について」では避妊手術に関するメリットやデメリットなどについて詳しくご紹介していますので、ぜひこちらもご一読ください。
■関連する病気はこちらでも解説しています
京王線笹塚駅から徒歩2分 飼い主様・猫ちゃんに寄り添う医療を
アリーズ猫医療センター